映画『アシッドハウス』(1998) 感想と評価

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『トレインスポッティング』、『トレインスポッティング2』の原作者アーヴィン・ウェルシュによる短篇3作品を、ウェルシュ本人が脚色した映画です。

映画データ

『アシッドハウス』

(原題:Acid House)

1998年/イギリス/111分
監督:ポール・マグギガン
脚本/原作:アーヴィン・ウェルシュ
出演:ユエン・ブレンナー他

脚本:アーヴィン・ウェルシュ

ワーキングクラス出身で、16歳で学校を辞め、ヘ〇イン漬けになったり様々な仕事を転々とする中で「発表するつもりじゃなかった」『トレインスポッティング』がヒット。それで作家になったという経歴を持つ人。

社会の中でくすぶる人々に対する、自嘲気味かつ暖かみが混じり合った眼差しが特徴。

今作は3エピソードとも、どん底人生を送る労働者階級のスコットランド人たちがフトしたきっかけで困った状況に追い込まれるという話です。

映画の感想と評価

【①ザ・グラントン・スターの悲劇】

ボブは彼女にフラれ、所属するサッカーチームからクビにされ、仕事もクビにされ、親からも「ちゃんと働け」と実家を追い出される始末。

パブでヤケ酒をあおっていたところ、神を名乗る怪しいおじさんから
「社会に悪がはびこるのは確かにオレの怠慢のせいかもな。お前、オレの罪を代わりに償え」

と無茶ぶりをされてしまったボブ。

償いのためにボブが受けた仕打ちとは。。?

タバコに火をつけるときの「ズバアアア!」や、ハエが叩き落されたときの「ズドーーーン!!!」とか、音響の使い方が面白い。

しかし神さまと話すときの「中学生が文化祭で作りました」みたいな凡庸すぎるカメラワークはどうにかならなかったのか!

あとカフカ的な演出はアイディアとして面白いけど、MVなら分かるにせよ、この長さでやるには長すぎないかな??という印象。

ラストで流れるニック・ドレイクのBy the time I get to Phoenixカバーがクサクサした雰囲気で良いな~。ドロシー・アシュビーのバージョンとかも好き。

【②カモ】

身持ちの悪い女とデキちゃった婚したジョニー。

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妻は生まれたばかりの赤ちゃんの世話もロクにせず、同じアパートに引っ越してきたチャラ男と浮気三昧。

不貞な妻と侵入者に彼はガツンと言ってやることができるのか?

このエピソード哀しくて一番好き。

「悪いことしてないのに、なんでこんな目に合わなきゃならないんだ。。」

という展開の連続がアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥの映画みたいでツボす。

ナメられっぱなしのジョニーがついにキレて「もう許さん!!」と復讐するんだけど、その内容が、気弱な彼にはコレが限界か。。て感じで切ない。

『わらの犬』みたいに敵にブチ切れて激烈バイオレンスを繰り広げられる人ばかりじゃないもんねえ。同じような境遇とはいえ。

全編とおしてUKロックがバンバン流れるMV的映画なんですけどもね。このエピソードは特に、人物の心情を楽曲に語らせるスコセッシ的手法が徹底してます。

ベルセバの「スロウ・グラフィティ」がとりわけ沁みる。

【③アシッド・ハウス】

ジャンキー青年ココは、ひょんなことからヨソの生まれたての赤ちゃんと精神が入れ替わってしまう。

『トレインスポッティング』でスパッド役を演じたユエン・ブレムナー主演のエピソード。

大林宣彦の『転校生』的な展開が楽しいシュールで猥雑なコメディです。

ラリったココが観る幻覚シーンはダーレン・アロノフスキーやダニー・ボイルを思い出す。

最後に

ポール・マクギガン監督はテレビCM出身らしく、この作品が長編映画デビュー作。

「数十秒~数分間の映像でいかに潜在顧客に印象づけて商品購入に誘導するか」

が主な目的であるテレビCMやミュージックビデオと違い、

「それ自体が商品」

の長編映画では、アプローチの仕方がまったく違います。

僕が好きなミシェル・ゴンドリーやスパイク・ジョーンズ、デヴィッド・フィンチャーなども元々その分野の人。

短い映像づくりで活躍してた人が挑戦した長編映画を観ると
「面白い映像を断続的に入れるだけじゃ映画として間が持たないな~」
と感じることが少なくありません。

今作も同じ印象でしたね~。

「MV集っぽい映画」というよりは「映画っぽいMV集」と入った方がしっくりきます。

市場を徹底的に絞って、UKロックファンからの支持を確実に、長期的に集めよう!

という戦略があったのか無かったのかはナゾですが、マーケティングの観点で気になる部分であります。

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