生き延びるための『ベイブ』(1995)-ブタに学ぶビジネス思考とリーダー論-

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小学生ぶりにスーパー頑張りブタ映画『ベイブ』を観たら、人として見習うべき姿勢をブタ様が体現していて感銘を受けた話。

予告編

映画データ

『ベイブ』

(原題:Babe)

1995年/アメリカ・オーストラリア/92分
監督:クリス・ヌーナン
脚本:ジョージ・ミラー、クリス・ヌーナン
製作:ジョージ・ミラー他
原作:ディック・キング=スミス『The Sheep Pig』
出演:ブタ/イヌ/トリ/ウマ他

ビジネスの現場に活かす『ベイブ』

人間においしく食べられる事を運命づけられたベイブが、周囲の動物や人を魅了し、立派な牧羊ブタに成長していく姿を描いたシンデレラストーリーが『ベイブ』だ。

製作と脚本は『マッド・マックス』のジョージ・ミラー。

自身に子供が生まれたことで、今作や『ハッピーフィート』のようなファミリー・子供向け映画に移行したという。

だが、「戦う者への讃歌」という彼のメッセージは『怒りのデスロード』『ロレンツォのオイル』などと同じく、今作にも共通しているテーマだ。

無数にひしめくライバルの中から存在を見出されるには、ある程度の運も必要だろう。

たまたま教養が高い家庭に生まれたり、親が金持ち、親戚や友人にコネがある、など。
容姿がかっこいい、可愛いというのも運に違いない。

しかし、運がいい者たちをひがんで諦める必要はまるでない。

映画の冒頭で外の世界へ出るチャンスを得たベイブは、確かに運がいいブタだ。

しかし、自分の価値を高める努力なくしてベイブは成功者となり得ただろうか?

かわいがられる存在

トップに好かれる職員

出荷を待つだけの飼育場からホゲットさんの牧場へ。
華麗に転職を果たしたベイブだったが、遅かれ早かれごちそうとなる運命は変わらない。

実際、劇中でベイブは何度もハムにされる危険にさらされる。

しかし、日頃からベイブは周囲の信頼を勝ち取る行動を欠かさなかった。

ヒツジ泥棒の襲来を大急ぎでホゲットさんに知らせたり、
ヒツジを襲う狂犬たちも勇敢に追い払ったり、
牧羊犬の仕事を観察し、見よう見まねで白と茶色のニワトリを仕分けたり。

しかもその行動は、ギブ&テイクを視野に入れた打算的なものでないのが重要だ。

打算を全否定するつもりは毛頭ないが、ズルさだけではいずれ相手の心は離れていくもの。

「相手や集団のために、自分が貢献できることは何か??」

その思考のもと、徹底的なギブの精神で行うからこそ人は付いてくる。
ベイブが信用を集めることが出来たのも同じ理由だ。

そしてベイブの知性と行動はホゲットさんにひらめきを与え、牧羊豚になるための訓練を受けるチャンスを得るにいたる。

同僚にも好かれる職員

純粋で素直な心を持つベイブは、その人柄(ブタ柄??)が幸いして二人のメンターに恵まれる。ベイブの母がわりをつとめる牧羊犬のフライと、老ヒツジのメーだ。

母であると同時に牧羊犬(中間管理職)の先輩であるフライは、ときに優しく、ときに厳しく、ヒツジに言う事をきかせる為の心構えをベイブに教え込む。

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また、ヒツジ(労働者)側の目線に立つことが人心掌握に欠かせない事をメーがベイブに気付かせる。

信頼され可愛いがられる存在になれれば、いざ困った時に周りが率先して助けてくれる事についても具体例が示される。

例えばホゲットさんの勘違いで散弾銃で吹っ飛ばされかけたベイブを助けるため、ヒツジに対話を持ちかけるシーン。
互いに「こいつはバカだ」と思っていた者たちが、初めて、話し合いによって解決の手段を見出すのが印象深い。

また、一時はベイブを嫌っていた頑固いぬレックスが窮地に陥ったベイブを救うシーンも感動もの。今まで威張り散らしてきたヒツジ達に頭を下げてお願いするのだ。

何かにつけつまらないプライドがジャマする私にとって、頑固いぬだったレックスの成長は胸に迫るものがあった。

どちらの例にしても、今まで中間管理職と労働者で反目し合っていた状況が
「ベイブを助けたい」
という共通の目的のもとに融和し、理解しあった瞬間である。

そしてそれを実現させたのは、犬とヒツジが初めて互いを思いやった冷静なコミュニケーションを取ったからだ。

これまで牧羊犬フライとレックスは、ヒツジ達を従わせるのに吠えたて、噛みつき、怒鳴り散らすことしか知らなかった。

それがベイブの感謝を軸にした行動規範に触れることで、いつの間にかイヌ達も成長していたという事だ。

これほど胸が熱くなるブタドラマが他にあるだろうか!

常識への反抗

今作はニヒリズム、冷笑主義、絶望との戦いでもある。

「そんなこと絶対にできるわけがない!!!」

周囲の笑いものになり、激しく罵倒されながらも、ホゲットさんはベイブの能力を開花させ世に示す信念を決して曲げない。

どんな艱難にも屈することなく、信念を貫くため断固として戦い続ける者たちへの讃歌

『ロレンツォのオイル』『マッドマックス』シリーズ同様、ジョージ・ミラーの信条は『ベイブ』においても存分に謳われている。

ベイブ、ホゲットさん、フライとレックス。

彼らもまたオドーネ夫妻であり、マックスであり、フュリオサ大隊長なのだ。

「私たちは何にでもなれる!」

このメッセージを謳ったものであれば、以下の映画も元気が出て大好きだ。

有色人種のメジャーリーグ進出への道を開拓したジャッキー・ロビンソン選手の伝記『42』

弱い生き物のウサギや、ならず者のレッテルを貼られたキツネが警官として身を立てる『ズートピア』

差別意識を受け流し、鮮やかな手腕で事件を解決する黒人警官を描いた『夜の大捜査線』

ラグビー南ア代表とマンデラ大統領の苦闘を描いた『インビクタス』も素晴らしい。

ラグビーニュージーランド代表チームが自分たちを鼓舞するために伝統舞踊ハカを踊るシーンは、ホゲットさんの歌とダンスに元気を取り戻したベイブの姿とも重なる。

一篇の詩が、歌が、踊りが、音楽が、映画が、人の生き方さえ変えてくれるのだ!

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