映画『ブルーバレンタイン』(2010) 感想と評価

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「他人同士が共生していく難しさ」
というテーマは時代を問わず普遍的なもので、

古代から現代までのあらゆる戦、レイシズム、アウトロー同士の抗争

など様々な例を通して語られます。

中でも、独身マンのわたしがとりわけ興味しんしんなのが

『クレイマークレイマー』
『レボリューショナリーロード』
『ゴーンガール』
『アンチクライスト』
『バージニアウルフなんか怖くない』
『普通の人々』

などの、結婚生活および離婚を扱った物語。

今回はデレク・シアンフランス監督作品『ブルーバレンタイン』について書きます。

映画データ

『ブルーバレンタイン』
(原題: Blue Valentine)
2010年/アメリカ/114分
監督:デレク・シアンフランス
出演:ライアン・ゴスリング/ミシェル・ウィリアムズ

あらすじ

看護師としてバリバリ働く高給取りのシンディと、
朝から酒びたりでハゲ散らかした低所得のディーン。

彼らは結婚7年目を迎えた夫婦だが、心はどんどんすれちがうばかり。

出会った頃は幸せでいっぱいだったのに、何が彼らを変えてしまったのだろう?

必要なのは愛?優しさ?それとも〇〇〇〇?

恋に燃えていたあの頃の二人と、関係がパーフェク冷めきってしまった現在の二人。
両方のパートをを交互に描写することで、それぞれのシーケンスが際立つ構成です。

同じくライアン・ゴズリング主演の『君に読む物語』と似た構成ですね=。
『(500)日のサマー』や『ゴッドファーザーpart2』、『メメント』などとも近い形式です。

よく指摘される『レボリューショナリーロード』との類似は、以下の点で顕著でした。

かたや
現状に満足せず、家族以外の社会ともつながりを求め、変化と成長のために行動する女。

かたや
現状に甘んじ、家族と自分の世界にしか興味を示さず、成長意欲が皆無な男。

という点です。

『レボリューショナリーロード』は今作と逆にバリバリ働きマンが夫、働かず家にいるのが妻でしたが、

「変わりたい女と変われない男」

という本質は共通しています。

出会った頃は恋の炎が燃え上がっていたおかげでシンディー気付きませんでしたが、
このディーン、まったくだめ野郎ですよ!

シンディがディーンに求めていたのは

成長する意志
互いに高め合える関係

これに尽きます。

たとえ収入が低くても、ディーンが意欲的に主体的に人生に立ち向かっていれば、彼女もこんなにウンザリすることはなかったでしょう。

思考のステージがかけ離れすぎてお話にならないことはラブホテルで交わす会話によく表れていました。

シンディ
「あなたったら、まいにち朝からお酒飲んでばかり。昔はもっと、才能豊かでイキイキハツラツしてたじゃない。。何かやりたいこととか、ないの?」

ディーン
「おれは君や娘と幸せに暮らせれば他に何もいらないんだ。それの何が不満だっていうんだ!?」

愛情とか優しさだけで人の信頼を勝ち取れるほど甘くはないんだ!

「おれが何すりゃ満足なんだよ!教えろよ!」

そういう自分で自分のことを責任もって考えられないところにシンディはウンザリしとるの!
ということでわたしは断固シンディを支持。

「精神的に向上心のない者はばかだ」とは『こころ』でも語られた通り。

『セッション』でフレッチャー教授も言ってました。
「人をダメにする二つの言葉がある。”Good Job”だ」って。

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でもディーン、大丈夫だ。
ラストシーンで寂しそうに立ち去ったうしろ姿を見送るのは寂しかったけど、その先には明るい未来が待っとる。

『脳内ニューヨーク』のコタードは今際のキワまで自分の人生の空虚さに気づかなかったけど、ディーン!お前はまだやれる!ちゃんと頑張ればシンディーともきっとヨリを戻せるよ!泣くなよ!

だからこそ言いたい。この映画はバッドエンドじゃない!

スタンダップ!お前スタンダップ!(湘南乃風ふうに)

あれもこれもアドリブなの!?

驚いたことに、劇中の会話はほとんどアドリブで行われました。
やけに会話の雰囲気がリアルだと思ったらそういう事だったんですね=。

あの青い部屋も、本番の撮影するまで主演の二人は入ったことなかったんだって。
しかも入室した途端にアドリブで飛び出たのがあのセリフ。。。!

マンハッタン橋でのシーケンスにおける演出も面白いです。

監督はあの時ゴズリングに
「彼女は拒むだろうが、なんとしてでも〇〇と言わせろ」

ミシェル・ウィリアムズには
「彼が全力で聞き出してくるだろうが、ぜったい〇〇と言うな」

とだけ指示をして、実に40分以上もアドリブ会話をさせ続けたそう。

それでとうとうあの行為に出てあのリアクションがあったため、OKがやっと出た。
あれ、素だったんだ!

『ザ・マスター』でPTA監督の指示通り”自由に”暴れまくったホアキン・フェニックスを思い出しますな=。

ところで映画に橋が登場すると

「これから起こるのは悲劇か、それとも幸せな出来事か・・・」

と構えちゃいます。

物語はキホン的に「こっちからあっちへ」という、広い意味での移動を扱うもの。

人間関係や感情の変化・移動をシンボル的に表すために、橋は格好の舞台装置となります。

『哀愁』しかり、『卒業』しかり、『サタデーナイトフィーバー』しかり。
『マディソン郡の橋』や『ゆれる』なども。

同じくライアン・ゴズリング主演の『ステイ』もマンハッタン橋のおとなり、ブルックリン橋が象徴的に使われていました=。

ぜひ恋人と観ましょう

『ブルーバレンタイン』には
「絶望的な映画じゃ・・・配偶者や恋人と観るのはマズイじゃろな・・・」
という声がよく上がりますが、わたしは全く逆だと思っています。

カップルでこの映画を観れば
「僕はこう思ったよ」「私はこうだわ」
と互いの恋愛観や価値観を共有でき、前向きな関係作りにきっと役立つはずです。

わたしですか??もちろんぼっちで鑑賞しました!!!!

最後に

ディーンを口ぎたなく罵っておいてなんですが、、
自分も一時期ニートで売れないダメダメバンドマンをやっていました。

あまつさえ高所得の女性の家に転がり込んで養ってもらうという完璧にどうしようもない生き方をしていたので、他人事に思えませんでしたね。

ディーンは言うてもイケメンかつ優しいので、むしろわたしの方がダメレベル高かった。

とりあえず住む家があってご飯が食べられて毎日シアワセ~って状態だと、
成長しよう!行動しよう!という意識がいつの間にか失われていく。

自分で自分を追い込めない意志薄弱な者はこの映画みたいに

「今日がお前の独立記念日だ!」

と強制的に環境を整えてあげるのも一つの手かも知れません。

とうとう愛想を尽かされて追い出されたところまでディーンと一緒。
「ごめんなさい!これからはちゃんとします!」
と泣いてすがりましたけどムダでしたね~。

でもネカフェ難民デビューした事で自分のダメ具合に気づけたからよかったっす。
若き日の苦酸っぱい思い出。

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