映画『白いドレスの女』(1981) 感想と評価

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『黒いドレスの女』(1987)、『赤いドレスの女』(1991)、『青いドレスの女』(1995)

カラフルで楽しい「●●いドレスの女」シリーズの嚆矢、80年代フィルムノワールの傑作『白いドレスの女』(1981)です。

真っ赤な薔薇にはトゲがある!

予告編

映画データ

『白いドレスの女』

(原題:Body Heat)

1981年/アメリカ/113分
監督/脚本:ローレンス・カスダン
製作総指揮:ジョージ・ルーカス
音楽:ジョン・バリー
撮影:リチャード・H・クライン
編集:キャロル・リトルトン
出演:ウィリアム・ハート/キャスリーン・ターナー/リチャード・クレンナ/他

映画の感想と評価 ※ネタバレあり

あらすじ

ぐつぐつ煮える太陽。ジメジメへばり付く空気。フロリダの真夏は容赦ない。

チャラ男の弁護士(ウィリアム・ハート)にナンパされた資産家の妻(キャスリーン・ターナー)、暑さで頭がどうかしてしまった二人は許されぬ恋に燃え上がる。。

と思ったら、暑さにやられて理性を失っていたのは男だけ。

気づかぬうちにファムファタルの毒牙にハマっていたと分かった時にはもう遅い。

男は裏切られ、騙され、ブタ箱に放り込まれた後だった。

熱い体と冷たい心

『スターウォーズ』エピソード5~7の脚本で有名なローレンス・カスダンが初の監督を務めたフィルム・ノワール作品だ。
製作総指揮にはSWの親ジョージ・ルーカスも名前を連ねている。

浮気相手と共謀して金持ちの旦那を消し去るという話の筋は『郵便配達はベルを二度鳴らす』などと近い王道路線。

凶悪な浮気相手から手痛い仕打ちを受けるあたりは『危険な情事』のようだ。

涼しい顔で男たちを奈落に突き落とすキャスリーン・ターナーは『ゴーンガール』の悪女ロザムンド・パイクなどにも通じる役柄。二人は風貌も似ている。

手玉に取ったはずの女の手で転がされているバカな男像は谷崎潤一郎『痴人の愛』を思わせる。

前半は不義の恋に落ちた男女のラブロマンス。

事あるごとに挟まれる濃厚あつあつベッド描写、そしてフロリダの灼熱に『Body Heat』という原題がピッタリだ。

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クインシー・ジョーンズの『Body Heat』(1974)なんてジャズファンク名盤もあったが、今作のスコアはねっとり絡みつくサックスが印象的なメロウなジャズ。

手掛けたのは『007』シリーズでお馴染みのジョン・バリー『007』よろしく劇中で主人公が帽子かけにハットをヒョイと投げるシーンもある。

赤、青、だいだい、カラーコーディネイトの妙

また、全編を通してがテーマカラーに用いられ、人物たちの熱情をよく表している。

主人公が乗る真っ赤な64年型シボレー・コルベットはその代表だ。この車で橋を渡る空撮シーンは『卒業』へのオマージュだろうか。

ヒロインのスカートや、彼女がこぼすスムージー。バーの照明。お屋敷の絨毯。レストランのテーブルクロス。

画面には出ないが、「チェリーパイ」というセリフもある。

中でも印象的なのが、同じく赤い車に乗ったピエロが通り過ぎるシーン。これは

「主人公は騙され利用されるピエロ」

という暗示だろう。

さて浮気相手と共謀して金持ち旦那を倒したものの、その手際の悪さに主人公に嫌疑がかかる。それ以降、今度はの登場頻度が増え始める。

これは彼が追い詰められていく心情を象徴したものか。

警察署に来た故人の妹と姪っ子が来ている服も青。

犯行後に主人公と女が添い寝するベッドと枕も青。

取り調べを受ける主人公の水色シャツが、洪水レベルでワキ染みしまくってるのなど笑わざるを得ない。ウィル・フェレルのコントをみてる気分だ。

「ヤバイよヤバイとバレちゃうよ。。。」

という気持ちがビシビシ伝わるおもしろ巧い演出。

また、タイトルバック、火事、夕暮れに染まる部屋、裁判所の廊下、間接照明だけの部屋など、オレンジの使い方も眼福だ。

撮影監督はリチャード・H・クライン

『絞殺魔』『奴らを高く吊るせ!』などもそうだが、うす暗い密室シーンに重厚な空気を与える上で卓抜した手腕を発揮する。序盤のバーの会話シーンもそう。

色使い以外でも、濃霧に揺れるチンダル現象、歩き去る女を包む闇の深さなど、どこを取っても画になる。

ストーリーの密度はもちろん、映像と音楽の濃厚さをじっくり味わいたい映画だ。

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