映画『愛という名の疑惑』(1992) 感想と評価

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アル中、フロイト、ヒステリー。

『めまい』始めヒチコックの系譜、また『真実の行方』や『白いドレスの女』などを思わせる虚々実々のとばっちりサスペンス。

一杯食わされようと食わされまいと、リチャード・ギアのハンサム具合は揺るがない!

映画データ

『愛という名の疑惑』

(原題:Final Analysis)

1992年/アメリカ/124分
監督:フィル・ジョアノー
脚本:ウェズリー・ストリック
撮影
:ジョーダン・クローネンウェス
編集:トム・ノーブル
出演:リチャード・ギア/キム・ベイシンガー/ユマ・サーマン

主観全開ネタバレ感想と評価

あとで褒めるので先に不満点から書くと、「物語の力点」が曖昧なまま話が進むため、最後までどうにも乗り切れません。

ヒチコック由来の巻き込まれ型サスペンスなのか?面

姉妹間の潜在的な確執や幼少期のトラウマなど心理描写がキモなのか?面

ミスリードされる快感を提供したいのか?面

やけに長いラストシーケンスにおける、生き残れるのか。。!?面

ム~、どの要素も中途半端でハッキリせん。

製作前にコンセプト作りを徹底しなかったのか、「あれもこれも」突っ込もうとして脚本作りを失敗したケースの典型です。

具体的には、

主要人物ユマ・サーマンのキャラの掘り下げが甘かったり、

主人公が精神科医なのにフロイト心理学の有名な事例を知らなかったり。

浮気者の弁護士と、不倫相手のセレブ妻。二人のせめぎ合いを描いたミステリー/サスペンスと言えばローレンス・カスダン監督の『白いドレスの女』を思い出します。

あの映画は話の主軸が男女2人の関係からブレず、ファムファタールの“煮ても焼いても食えない女”ぶりがしっかり描かれていたのでフィルムノワールとして成功したのだと思います。

それから、同じく中盤でガラリ!と話が路線変更する映画とは言え『ゴーンガール』を思い出します。こちらの場合は、

「いったん舵を切ったら一直線!」

といさぎよく展開するから受け手も安心して不安になれます

対して今作の場合、テーマが千鳥足でどこに向かいたいのか判然としない。

製作側がマトモに舵取りできてないのが明らか!

「複数テーマを立てるのは良し悪しでなく、単にこういう手法だから。。。」

という見方もできますが、であれば限られた時間枠に各テーマをどう配分し、それぞれどう決着させるのか、もっと神経質に突き詰めんといかん。

具体的を挙げれば、法廷シーン。長すぎるよ!

「この人は無罪か、、、有罪か、、、どっちだ、、!?」

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もしそれがテーマの主軸であれば長尺を用意しても違和感がないですし、たくさん台詞が使われる必然性も生まれます。

でもタネ明かしは早くも二幕目でなされてしまうんですよ。

『情婦』だったり、同じくリチャード・ギア主演の法廷サスペンス『真実の行方』などの場合は、判決に至るまでの緊迫感とミスリードに徹底して力点を置いています。

その結果、最後まで充足感でいっぱい。

キム・ベイシンガーが夫を殴り倒すシーンについても、

「酔って暴れた時のことを覚えていない病気」

という設定を利用すればもっと面白くできただろうに勿体ない。

例えば、まず幼少期のトラウマ、妹、無駄な診察シーン、などの要素ぜんぶ削ってしまう。

で、酒乱シーンは何回も描写することで「この女はホントに病気だ。危険なんだ」とますます観客に思い込ませる。

しかも泥酔して異常行動する現場をリチャード・ギアに目撃させとけば、

「実はギアが真犯人?ベイシンガーが旦那を殴り倒したシーンは、酔って何も覚えていない彼女にギアが語って思い込ませた偽の記憶?」

などミスリードの枠を増やせて、観客の集中力と思考を維持させられる。

その上で法廷シーンを伸ばして、三幕目でようやくウソつきはベイシンガーで、ギアは本当に騙されていた。という結末に持ち込む。

とか。

二幕目でネタばらし、それ自体はいいとしても

「てことは、三幕目でこれを上回る展開が待っているのか!」

と期待させて三幕目が『めまい』やりたかっただけじゃん!な展開なのはズッコケた。

要は引用のための引用

よくコンセプトの軸があいまいなロックバンドが

「単に好きだからあの曲のフレーズ入れよう」

必然性のない引用をするのと同じだ。

また引き合いに出しますが、『ゴーンガール』も同じく複数のヒチコック作品のパスティーシュをぶち込んでいるに関わらず、さりげないので作為や衒いは感じられません。

無理やり感でいえば

「心理学の要素、押す必要ある。。?」

という点にも違和感を覚えました。

精神科医が患者の女性に関わりすぎて事件に巻き込まれるプロットと言えば『殺意の香り』を思い出します。

あれも今作と同じで「無理やり心理学」感ハンパでなかった。

そういえば犯人が高い所から落ちる、テンプレ通りの幕切れまで一緒だ。

とは言え、シーン単体レベルであれば好きな部分は少なくないです。

息をするように嘘を吐くキム・ベイシンガーのしおらしい演技とキレ演技のギャップはテンション上がりましたし、個人的に大好物な「霧けぶる夜の青い光」もたっぷり観られましたし。

あと横スクロールで伸びやかに進むステディカムの動きも、回転ずし屋でお寿司がすーーーーーとコンベアで運ばれてくるの見てるみたいで気持ち良い。

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