映画『ハッピーフィート』(2006) 感想と評価

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今回はスーパー頑張りペンギン映画『ハッピーフィート』の話です!

映画データ

『ハッピーフィート』

(原題:Happy Feet)

2006年/アメリカ・オーストラリア/108分
監督:ジョージ・ミラー
脚本:ジョージ・ミラー他
音楽:ジョン・パウエル
声の出演:イライジャ・ウッド/ロビン・ウィリアムズ/ニコール・キッドマン他

スーパー頑張りペンギン映画の感想と評価

ジョージ・ミラーという監督の作品で、この人『マッドマックス』を作った人ですね。

かわいいブタが頑張る『ベイブ』もこの人の作品なんですけども、『ハッピーフィート』はペンギンが頑張るお話です。

主人公はマンブル君というコウテイペンギンの男の子でして。映画もありましたね、『コウテイペンギン』っていう、ドキュメンタリー調の。

で、南極に暮らしてるんですよ。当たり前ですけどすっごく寒くてですね。

お父さんがお腹と足の間にタマゴ挟んで、じーっと立ったままヒナが孵るまであっため続けるんですよ。

しかも60日間、ご飯も食べずに。立ちっぱなしであっためるの。

(繁殖地でタマゴがかえった後に、食べ物のある海まで移動する時間も含めると約120日間の絶食)

そうしないとちょっとでもお父さんがタマゴから離れたら、凍っちゃいますからね、タマゴ。ヒナが生まれて来れなくなっちゃう。

しかも南極ですから、気温がマイナス60℃とか、猛吹雪の日とかもあるわけですよ。それでも無言で、父ちゃん仲間たちで体をくっつけ合って耐え忍ぶ。

これテレビなんかで観たことある人も多いかと思います。修行ですよねほとんど。

ちなみにお母さんはその間は、自分や生まれてくるヒナにあげる食べ物をゲットする為にはるか遠くの海に出かけてます。

で、タマゴが生まれる前にまずコウテイペンギンがどうカップルになるかって話をしますと、彼ら、アピールしたいメスにラブソングを歌うんですよ。ロマンチックですよね~。

歌うと言っても、フゲフゲ繰り返し鳴くのが歌ってるように見えるって事なんですけども。

で、メスが相手のオスを「このひと素敵だわ」って思ったら夫婦になって、卵が生まれた後はデュエットもするそうですよ。

で、この『ハッピーフィート』はそのコウテイペンギンの求愛行動にヒントを得ていて、登場するペンギンたちがホントに歌ったり踊ったりするってCGアニメですね。

アース・ウインドファイアーの”ブギ・ワンダーランド”ですとか、スティービー・ワンダーの”I Wish”ですとかね。

何千匹ものペンギンがみんなでディスコやファンクや、R&Bのヒット曲を歌うんですけども、それが楽しい映画です。

で、この映画のペンギンたちが暮らす社会では、運命の相手と結ばれるため「上手に歌う」ことが何よりのステータスなんですよ。

他の部分がイケてなくてもですね、心をこめて上手に歌えればモテモテになれるんです。何となく『サタデーナイト・フィーバー』を思い出しますね。あれはダンスですけども。

なんですけど、この主人公マンブルくんは致命的に音痴なんですね~。他の子たちは上手に歌うんですけども、彼だけジャイアンなんですよ。ホゲ~~!!と。

ちなみにコウテイペンギンって生まれてしばらくは両親がヒナを育てるんですが、そのうちたくさんのヒナを少ない大人で世話する、託児所みたいのに預けるんですよ。面白いですよね。

映画にもそのペンギン託児所、学校が出てきて先生に歌を習うシーンとかあるんですけど。

ちなみに歌の先生ペンギンの声をやってるのは『ベイブ』の牧場主の奥さんですね。

で、歌のうまさがものをいう社会ですから、マンブルくん落ちこぼれになっちゃって。歌がヘタすぎて学校を留年しちゃうんですよ。留年。

お母さんが「なんでウチの子だけ卒業できないのよ!?」と怒ったりしてね。ぼくも大学、1年留年したんで他人事に思えないんですが。

でもマンブルくんは一つだけ取り柄があるんです。タップダンスがもの凄くうまいんですよ。生まれてすぐタタタ!とダンスを始めるような子で。

でも彼の社会っていうのが、頑固な大人ペンギンたちがハバをきかせててですね、ガチガチに保守的な空気なんですよ。

「踊ってなんかいないで歌の練習をしろ!」

とそればかり言われる。周囲のペンギンたちも彼の才能を、才能と気づかないんですよ。

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「歌こそ全て」っていう固定化した常識の中でしか育ってないから。これってほんとに怖いことで。

人間の社会も同じですね。ちょっとでも常識はずれなことしたら、総スカン食らうこと、あるじゃないですか。

で、人間の場合ひがんだりもしますからね、あいつ才能あるけど認めたくない。足を引っ張ってやりたい。みたいな。この映画にはひがみ屋のペンギンは出てこないですけど。

でこの『ハッピーフィート』は、はみだし者のマンブルくんが価値観の凝り固まったペンギンしかいない狭い社会を抜け出して、外の世界へ旅に出て成長する話になってます。

南極にはコウテイペンギンと別にアデリーペンギンっていうのも住んでまして、マンブルくんは家出して初めて彼ら、つまりコウテイペンギン以外の生き物と接するわけです。

お調子者のアデリーペンギン5人組と仲良くなるんですけど、彼らにとってはマンブルくんのタップダンスはすっごくクール!!!なものに思えると。

はじめて他人からタップダンスを褒められるんですよ。

ぼくらも同じよ~な環境、同じよ~な価値観の人とばかり付き合ってると、どんどん思考が凝り固まって、視野が狭くなりますよね。

でも周囲から「あいつはダメだ」と思われてた落ちこぼれのマンブル君が、今まで欠点と決めつけられていた個性をきっかけに家出して、外の世界を知って、視野が開けて、自分の才能を開花させるんです。

だから観ててすっごく勇気が出るんですこの映画。

「たまたまこの集団の中で落ちこぼれだからって、諦める必要ない。勇気を出して広い世界に飛び出れば、自分の命を輝かせられるんだ!」って元気出ます。

『ベイブ』も、「人間から食べられるだけの存在」とみんなに決めつけられていたブタちゃんが、誰も想像できなかったような成功を頑張ってつかむ話でしたね。

『マッドマックス 怒りのデスロード』にも、イモータンジョーっていう悪の親玉がいて。
ジョーのおめかけさんとして生きる事を宿命づけられた女性たちや自分自身を解放するために、トム・ハーディやシャーリーズ・セロンが奮闘する、「自由をつかみ、人間らしく生きるための戦い」というテーマが語られる話でした。

『ハッピーフィート』も詰まるところ『怒りのデスロード』や『ベイブ/都会へ行く』と同じで「行って帰る」お話です。

こういう、人が生きる上で本質的に大切なテーマを一貫して描いている人ですね、ジョージ・ミラー監督という人は。

で、マンブルくんなんですけどそのまま簡単にハッピーエンドにはならないんですよ。

この後もっと広い世界に飛び出すんですが、そこで大きな挫折と絶望を味わいます。

ある場所に連れて行かれるんですが、そこで「どうあがいても事態を変えられない」と諦めてしまって、感情のないロボットみたいになっちゃって

そこも人間の社会をそのまま戯画にしてるようで怖かったですね~。ほんとにうつろな目をしてるんですよ、その時のマンブルくん。

大人になると色々なもの、諦めること増えませんか?

「休みを取って海外旅行に行きたいな~、でも休み取れるワケないよね」とか。

なんでもいいですけど。

そういう、思い通りにいかない哀しみをいちいちダイレクトに味わっていたら、心がどんどん疲れていくじゃないですか。

だから多くの大人がそのうち心にフタをして、最初から望みを持たないようになってしまう。

「~~したいけど、まあ、ムリだよね」

って、できないのが当たり前って考え方になっちゃう。

そういう、思考停止してただ与えられるエサを待つだけの、ゾンビみたいな姿にマンブルくんもなります。

『パピヨン』とか『告発』とか、『ミッドナイトエクスプレス』とかでも登場人物が同じような境遇を味わいますが、それと全く同じ状況。

『いまを生きる』では保守的なキビシー家庭に育った男の子が、はじめて自分で道を切り開こうとするけど、結局お父さんにピシャリと希望を閉ざされるという残酷な展開もありました。

こういうリアルで厳しい部分をしっかり描くのもジョージ・ミラー監督らしいところです。

それからマンブルくんがどうなるかは観てのお楽しみという事で。

あと南極の環境問題が非常に大きいテーマを占めてるんですけど、それについては『ハッピーフィート2』の記事にまとめて書いてますんで、よければそちらご参照ください。

テーマも含め、とにかく音楽やペンギンたちのダンスがまず楽しい映画なので、元気を出したい時にはオススメです。はい。ありがとうございました。

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