映画『ハッピーフィート2 踊るペンギンレスキュー隊』

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「ペンギンが歌って踊ってカワイー^^」なんて浮かれてる場合じゃねえ!

はい。いきなりテンション高く怒鳴ってスイマセン。

今回はジョージ・ミラー監督『ハッピーフィート2 踊るペンギンレスキュー隊』の話です。

サブタイトルに「俺たち」って付いてれば最高なんですけどね。

タップダンスが得意なコウテイペンギンの少年が「おら東京さ行くだ!」と地元を飛び出し、ほうぼう旅する中でたくましく成長する『ハッピーフィート』の続編です。東京は行ってませんね。

ペンギンたちが歌って踊って楽しいペンギン映画、に表向きは見えるんですが、本当は前作と同じく人間による南極の環境破壊に対する批判が込められた災害パニック映画であります。天災じゃなく人災。はい。

ここを押さえてから観るとより深みが出ますので、今日はそれについて書きます。

南極の環境問題

漁獲量の増加

まず前作のおさらいから。

主人公マンブルくんが暮らす皇帝ランドのペンギン達は、海の魚がどんどん減って食糧難に困ってるんです。

で、その原因が人間が南極で魚を乱獲しているからだと分かる。劇中で人間は「エイリアン」と呼ばれてましたね。

それがマンブルくんや心を一つにした仲間たちの活躍によって、人間たちが漁獲量を減らす方針を取るハッピーエンドとなりました。

ゴミ問題

イワトビペンギンのラブレースは他のペンギン達から教祖と崇められてるんですが、首に、何やらヘンな輪っかがハマってまして。これ6本セットの缶ビールをまとめるビニールの道具ですね。

南極に来た人間たちが、乱獲するだけでなくゴミまでまき散らしていく。という批判が暗に語られていました。

とつぜんやってきた侵略者が生態系を破壊し我がもの顔で威張り始める。

ジョージ・ミラー監督の母国オーストラリアにおいても、18世紀の後半からヨーロッパ人がやってきてアボリジニ達を虐殺、支配した歴史がありますね。

そういう視点からも、環境保護、ひいては広く「侵略」について問題提起されたのが前作『ハッピーフィート』でした。

地球温暖化

温暖化に警鐘を鳴らした映画ですと『デイアフタートゥモロー』とか『不都合な真実』がありますが、『ハッピーフィート2』においても切実にそれが訴えられています。

とける氷山

今作では大きな氷山が融けてペンギン谷に押し寄せ、入り口を塞いだことでペンギンたちが谷の外へ出られなくなる災害パニック映画です。

閉じ込められた人たちを救い出す映画なので、『タワーリングインフェルノ』とかと同じですね。

で、南極は地球で一番気温が上昇している場所でして。

南極の氷が融けると世界中の海流に影響を及ぼしますので、人間もどこに住んでいようが、天候異常でそのうちヒドイ目にあう危険性があるんです。

ロス海っていう南極の南の海にはまだ豊富に氷があるんですけど。

なのでこのまま温暖化が進んで氷がなくなると、南極の動物たちはロス海にしがみ付くように暮らさざるを得ない状況になるとも予測されています。

パフィンの食料の減少

今作に登場する「空とぶペンギン」スヴェンですが、本当はペンギンじゃなくてパフィンっていう鳥なんですよ。

北欧アイスランドを象徴する鳥なので、名前もスヴェンと北欧ふう。
で、彼のシーンではよくメタルのカッチョイイ速弾きギターが鳴りますね。北欧はメタルが盛んな国が多いですから。

パフィンはペンギンに姿が似てて、スヴェンもペンギンのふりして登場するんですが、まったく関係ない鳥です。

あとパフィンは海水を飲んで水分補給できるらしくって、後で塩分だけ鼻にある腺から出すことができるんですよ。すごいよね。

劇中でスヴェン、何度もクチバシからシャボンをプカーと出すのはそれを表してるですね。

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で、スヴェンは「他の仲間が絶滅して一人だけ生き残った鳥」という設定なんです。

劇中で詳しい理由は語られませんが、実際パフィンは国際自然保護連合ていう機関から絶滅危惧種に指定されてます。

パフィンはタラやニシンが好きで、よく食べるんですけど、その魚たちは海面の温度の変化にとっても敏感らしいんですよ。

だから気候がおかしくなると、パフィンの食べる魚が減る。それでパフィンの数も減っている、という背景が映画に隠されているんです。

劇中ではおどけてますけどね。哀しい経歴を持ってます、スヴェン。

2匹のオキアミたちのドラマ

この映画にはウィルとビルっていう、2匹のオキアミが出てきまして、彼らの冒険がペンギンたちの物語と並行して語られます。

自分の可能性を試すために、群れから離れて冒険に出かけるっていうのが、今作と同じジョージ・ミラー監督の『ベイブ』みたいですね。ナイスガイたちです。

彼らに声あててる声優が豪華ですね。ウィルをブラッド・ピット、ビルをマット・デイモンがやってますよ。『オーシャンズ』シリーズの二人が。

ちなみに音楽を担当してるのはジョン・パウエルって人でして、この人マット・デイモンの『ボーン』シリーズの音楽も手掛けてます。そういう部分もちょっと繋がってると。

でオキアミなんですが、色が暖色系で、そのおかげで彼らが群れをなして泳ぐシーンは華やかさがありますね。オレンジに光るクラゲとかも出てきて、それもすごい綺麗です。

前作はね、ほぼ青と白だけの世界でしたから。

で、この南極に住むオキアミ君たちもまた、生存が危ぶまれてるんですよ。

オキアミって年に17万トンくらい捕られるらしくって。どのくらい多いかっていうと、この20年間で80%も世界のオキアミの数が減ってるそうです。

何が困るかと言いますと、オキアミはペンギンの主食の一つなんですよ。映画では魚ばっかり食べてますけど、オキアミもガンガン食べます。

で、ブーベ島っていう、ペンギン達が繁殖地にしてる島がありまして。アフリカと南極の間に浮かんでる絶海の孤島で。

そこのペンギンの数が20年で半分まで減っちゃったらしいですね。オキアミが減ってご飯が食べられないからだって言われてます。あと温暖化で氷が減ってるのも理由ですね。

たとえば、劇中ででっかいクジラがオキアミの群れをグワーッ!と食べるシーンがあるんですよ。オキアミたちはクジラではなく「ブラックホール」って呼んでました。

この、クジラが増えてオキアミを食べまくるのも、オキアミ激減の原因とされてます。

ウィルたちもクジラから命からがら逃げたあと「俺たちは結局だれかのランチになる運命なのか。。?」ってやっぱり『ベイブ』みたいな台詞を言ってましたね。

さらにオキアミたち自身が主食にしてる植物プランクトンも減ってます。

海氷にくっついた植物プランクトンが彼らの生命線なんですが、これも温暖化で海面が凍らないからどんどん減る。オキアミも食べるものに困ってるんですよ。

最後に

クジラの増えすぎでオキアミが減る。
温暖化で植物プランクトンが減ってオキアミが減る。
オキアミが減るとペンギンが飢えて減る。
人間による乱獲でサカナが減っても、ペンギンが飢えて減る。
生息するための海氷が十分になく、さらにペンギンが減る。
海氷をたよりに生きる他の生き物も減る。

『マッドマックス』で資源の枯渇に苦しむ人々の姿も重なりますね。

こういう事情を知って観ると、登場する生き物たちがみ~んな生存の危機にさらされてるという事が分かります。

そんな状況にあるにも関わらず、どの動物も精いっぱい元気いっぱい生きている、と。だからこそ感動に結びつくですね。

「ペンギンが歌って踊ってカワイー^^」なんて浮かれてる場合じゃねえ!

というジョージ・ミラー監督からのメッセージですね。

ということで『ハッピー フィート2』の紹介でした。ありがとうございました。

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