映画『ナイトクローラー』(2014) 感想と評価

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あたらしい悪の形。

映画データ

『ナイトクローラー』

(原題:Nightcrawler)

2014年/アメリカ/118分
監督/脚本:ダン・ギルロイ
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
撮影:ロバート・エルスウィット
編集:ジョン・ギルロイ
出演:ジェイク・ジレンホール

映画の感想と評価

「この映画、楽しんでくれたかな?ありがとう!じゃあ君もルイスと同類だね!」
そう言われてる気がしてならない。。。

畜生道に堕ちたルイスの行動がクローズアップされるたび
「ホントのサイコ野郎だ」
とか思ってたけど、だんだん気づいてくるんですよね。

倫理も道徳も皆無のパパラッチが撮った刺激的な映像。
それを娯楽として楽しむニュースの視聴者、ひいてはこの映画の鑑賞者は他人事みたいにルイスを眺められるのだろか。。。??

そのメッセージにハッとして、近いテーマの『エレファントマン』を思い出しました。

悪の様式もサイコパス全開でコワイコワイ。
ルイスのプライベートでの人格を表すための部屋は、壁にソファに花に至るまですべて青で統一されており、その非情さ冷酷さを演出しています。

それに対して、いざ”ビジネス“になると真っ赤っ赤なダッジ・チャレンジャーを疾走させ街じゅうの不幸を集めて回る。

その人格対比がもっとも顕著に現れているシーンが2つあります。

1つはライバル業者に出しぬかれた後のシーン。
ビジネスで失敗こくとあそこまで感情をあらわにして切歯扼腕するのに対して、

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相棒からガツンと言われた
「お前は人間の気持ちが全く分かってない!そこがお前のダメなとこなんだ!」
という真っ向からの人格否定には

「うん」

の一言。顔色一つ変えずに。
ルイスにとっては当たり前すぎて
「え、いやそうだけど、だから何?」
としか感じないのでしょう。

それでいてTVのコメディでヘラヘラ笑ったり、ニュースの司会者と気さくに話をするなど、喜怒哀楽を持った普通の人間として描かれるのが余計に怖い。

インターネットのビジネスサイトや自己啓発サイトで仕入れた受け売りの情報を得意げに語るシーンが何度もあったり。「いるよな〜こういう奴」感ハンパでない。

『ノーカントリー』シガーのように理想化された悪の象徴(シガーは自然災害でもあるけど)
でなく、あくまで“その辺にいそうな人間”として描かれるため、
「他人事じゃなく、自分もまかり間違ったらこういう事やりかねん、と考えよう。。。」
という気になってきます。

ハンナ・アーレントがアイヒマン裁判を経て喝破した“悪の凡庸性”は「自分はマトモだから大丈夫」って油断してる人ほど陥りやすい。

“大義を持たない上に凶悪な俗物”という悪役像は今後どんどんスタンダードになっていくのかも知れませんね~。

「ジャーナリズムと道徳のトレードオフ」というテーマだと『カポーティ』やケビン・カーターの写真なども示唆に富んでおり見逃せないところ。

その他気づいた点。

不穏なグリーンの照明をキーカラーにしているのも個人的にツボ。デヴィッド・フィンチャーやレフンなどの画づくりが好きな人にはハマるはず=。

あと、標的の家の前に車を止めてああだこうだ会話するシーンは『ブギーナイツ』を思い出しす。あの作品も今作もロバート・エルスウィットというのは関係してるのかしら。

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