映画『パリ、テキサス』(1984) 感想と評価

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終盤でようやく『ゴースト/ニューヨークの幻』に思いあたり背筋が凍った。
 
人が社会人になる方法は?
 
天使が人間になる方法は?
 
幽霊がよみがえる方法は?

映画データ

『パリ、テキサス』

(原題:Paris,Texas)

1984年/ドイツ・フランス/147分
監督:ヴィム・ヴェンダース
脚本:L・M・キット・カーソン/サム・シェパード
撮影
:ロビー・ミューラー
出演:ハリー・ディーン・スタントン/ハンター・カーソン/ナスターシャ・キンスキー他

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感想と評価

社会的責任よりも自分の夢を優先し、マトモな道からドロップアウトした『未知との遭遇』のR・ドレイファス。
 
ろくに働かず、奥さんから愛想を尽かされる『ブルーバレンタイン』のR・ゴズリング。
 
そして同じくトラヴィスという名を持ち、社会になじめず、心に虚無を抱える男を主人公とする『タクシードライバー』
 
または『シェーン』のシェーン、『ドライブ』のドライバー、『T2 トレインスポッティング』のベグビーなど。
 
4年前に謎の失踪を遂げたトラヴィスもまた、彼らと同じく現実社会でアイデンティティを固められない、亡霊のような存在です。
 
また、生身の女性ではなく
 
「こんな女性がいたら最高だな」
 
と、幻想しか愛することができない部分。
 
これもトラヴィスが大人になれない存在であることを強く印象付ける要素。
『ゴーンガール』のロザムンド・パイクや『めまい』のキム・ノヴァクに対する主人公とも重なります。
 
対して目を輝かせながら宇宙のことを父に話して聞かせ、STARWARSのお布団で眠る息子ハンター君。
 
ともに真っ赤な服を着たトラヴィスとハンター君は、同一人物が持つ二つの側面。
 
彼が大人になるためには、積極的に外の世界へ出ていく決断をする必要があります。
 
心の中の純粋性/少年性を守りながらも、実社会の中に居場所を見出す決意をしたのが『E.T』でしたが、ヴィム・ヴェンダースはロードムービー三部作を経てなお、その境地に達していませんでした。
 
そのため今作は「3人家族が再び一緒になる」という大団円を切り捨て、あのラストに変更されるに至ったようです。
 
社会人としては困ったもんだけど、その時の自分を偽らずに創作する姿勢は表現者として誠実かも知れませんね。
 
小津映画の影響や、荒野をひた走る父と子のロードムービーなどの共通点では『ネブラスカ』を思わせますが、今作の結末に込められたメッセージはいっそう厳しいです。
 
 
ロビー・ミューラーによる映像も美しくて惚れぼれします。
 
あやしく沈むグリーン、
目の覚める真っ赤っかな衣装や車、
澄み渡る青空、マジックアワーの夕空、
テクニカラー全盛時代のハリウッド映画を思わせる鮮烈な映像美に終始圧倒されます。
是非とも大きなスクリーンで観たい!
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