映画『プリズナーズ』感想と考察~神の不幸は蜜の味~

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こんにちは!フィルミナ(@filminaty666)です。

ズ~ンと心にのしかかる、「善か悪か」で単純に片付かないドラマ『プリズナーズ』の感想と考察です。

プリズナーズ。囚人。いったい誰が囚人なのか?最後まで分かりません。

予告編

『プリズナーズ

(原題:Prisoners)

2014/アメリカ

監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ

キャスト:ジェイク・ギレンホール/ヒュー・ジャックマン/ポール・ダノ

感想と評価

ミルトンの『失楽園』

神に対するクーデターに失敗し、地の底に落とされた大天使ルシファー。

彼は悪魔の王サタンとなり、捲土重来を誓った。

暗く冷たい地獄から地上を見上げれば、地獄で不遇をかこつ自分をさしおいて、神の寵愛を受ける者たちがエデンの園と呼ばれる楽園で幸せに暮らしていた。

人間たちである。

サタンは人間たちへの嫉妬に狂い、逆恨みを晴らすための妙案を講じる。

ヘビに姿を変え、エデンの園への潜入に成功したサタン。

そこには初めて作られた人間、アダムとイブがいた。

サタンの言葉巧みな誘惑にたぶらかされた二人は、とうとう神から食べることを禁じられた知恵の実を食べてしまう。

まんまと神に反逆”させられた”二人は、容赦なく楽園を追い出された。

この時から人間は、永遠に困難と苦悩の中を生きる運命を背負ったのだった。

しかし。

もとより人間へのねたみを晴らすという行為は、サタンにとって副次的な目的に過ぎなかったのである。

目的の主眼はあくまでも神へのリベンジ。

「愛する存在に裏切られる苦しみを味わえ」

かくしてサタンの復讐は成し遂げられたのだ。

『プリズナーズ』のテーマ

『失楽園』がベースとなった物語は数えきれないほど存在する。

『プリズナーズ』もまた、神と悪魔の確執、そして人間の自制心と信仰心の称揚を謳った作品だ。

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ユダヤ・キリスト教において、裁きという行為は神にしか認められない。

人間はどんなに理不尽で、つらく悲しい出来事に際しても、ヨブのように黙って耐えるしかないのだ。

もしも人間が身の程をわきまえず敵に復讐を果たそうものなら、必ずその者には神の罰が下る。

アダムはエデンを追われ、

『オンリー・ゴッド』のライアン・ゴズリングは両腕を切り落とされ、

『トゥルー・グリット』で父の仇を取ったヘイリー・スタインフェルドもまた毒ヘビに噛まれて片腕を失い、

『セブン』でジョン・ドゥーの誘惑に負けたブラッド・ピットも、神の名のもとに法の裁きを受ける結末を迎えた。

本作におけるヒュー・ジャックマンもまた、ラストシーンの後で同じ道をたどるのだろうか。

さらに。キリスト教における神の絶対性を強調するツールとして、噛ませ犬の役割を担わされている人物がいる。

ジェイク・ジレンホール扮するもう一人の主人公、ロキ刑事だ。

彼は異教徒の神の名を持ち、

キリスト教と犬猿の仲とされるフリーメイソンの指輪をつけ、

カトリックの神父をボコボコにし、

中国を起源とする干支に興味を示す。

さまざまな記号でキリスト教の精神と乖離した存在として描かれる彼の捜索は、いつも後手に回り、重要な見落としを重ね、核心になかなか近づけない。

これは

「キリストと父なる神への信仰でしか人間は救済されない」

という意思の表れか。

他にもゴールディング『蝿の王』で悪魔ベルゼブブの象徴として使われた豚の頭部が「この部屋が地獄である」ことを暗喩しているなど、随所に散りばめられた記号を探す表層的な楽しみには事欠かない。

迷路はダンテ『神曲』地獄篇の世界観だろうか。

それから、キョーレツな逆光や壁に映る雨だれなど、控えめながらもロジャー・ディーキンス節がそこかしこに光るのも見どころだ。

最後にRadioheadの”Codex”が流れて陰鬱さに拍車がかかるのもオツ。

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