映画『カフェ・ソサエティ』(2016) 感想

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フィルミナ(@filminaty666)です。

『夢を見てるような目ね』

冒頭から「時さえ忘れて」の物悲しい旋律が流れ、

「幸せな恋の話ではないんだな」

と分かると同時に、グイグイ引き込まれる。

(個人的にはチャーリー・パーカーがストリングス入りで吹き込んだやつがイチバン好き)

何よりもヴィットリオ・ストラーロが撮影監督と聞いてワクワクしてたんですが、

期待以上に柔らかく、
鮮やかな夕暮れ、哀しみ、琥珀色。

ハッピーサッドなストーリー展開にピッタシで、
恍惚でございました。

鮮烈な色彩をわざとらしさ皆無で、
上品に仕上げるのがたまらないんですよね~。

『暗殺の森』での列車に差し込む夕陽や、

『ラスト・タンゴ・イン・パリ』でのベッドシーンなども最高。

特に今作では、ロウソクだけが灯る食卓のシーンで

「ストラーロの光、き、気持ちいい、、、!」

の波に飲まれました。眼福、眼福。

あと「人ごみを縫うステディカム」ですよ、
ヌルヌル動いて気持ちイイ、、、、

『グッドフェローズ』を筆頭に、『ブギーナイツ』『L.A.ギャングストーリー』なんかもですが、

人だかりの中を動き回るステディカムの快感って、何物にも代え難いものがありますねえ。

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お話はストレートなラブロマンスかと思ったら、

やはりウディ・アレンの死生観/宗教観が終盤で提示されます。

「キリスト教に改宗するユダヤ人」

には『ハンナとその姉妹』を思い出した方も多いでしょう。

『ハンナ~』では
「キリスト教のご利益はどうせ死後払いだ、ワリに合わないよ」

と改宗を諦めるのですが、今作では某人物が

「ユダヤ教徒のままだと死んだら終わりだろ?
俺は死後の世界を信じたくなったんだ」

と漏らし、カトリックに鞍替えします。

老境に入った監督の、寂しさや不安感とも受け取れるセリフが印象的でした。

1930年代は、
ユダヤ人が作り上げたハリウッド映画業界の黄金期であると同時に、

「反社会的でけしからん」
としてヘイズコードを採用。
従来のように自由な表現ができなくなった時代でもあります。

そしてほぼ同時期、
欧州でナチスドイツが民主主義的なプロセスで第一党に。
ユダヤ人への迫害が強まります。

そんな時代にあっても「神は沈黙」するだけで、
救いの手は差し伸べてはくれない。

『ミッドナイト・イン・パリ』で”狂騒の20年代”への夢を目いっぱい詰め込んだように、

30年代ハリウッドへの夢がギュウギュウ詰め込まれた今作には、

純粋さや自由が失われていくそんな時代への哀惜が、華やかさと同じだけ描かれています。

主人公自身と元カノがすっかりスノッブと化していく様子は、まさに沈みゆく斜陽のようです。

深い諦めと、「もう笑うしかないだろ!」という開き直りの同居がウディ・アレンの作家性ですが、

今作は

諦めと哀しみ:開き直りコメディ = 8:2

くらいのバランス。

哀しいものは美しい!

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