映画『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』(2008) 感想と評価

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はじめに書いておくと、よく言われる”鬱映画”じゃありません!
ましてや虚無感や皮肉に酔うための映画でもないです。

『アンチクライスト』や『ゴーン・ガール』と一緒にされたら困るのだ!
(ちなみに上記2作品はとても好き)

ではどう解釈すればいいのか?

今回はサム・メンデス監督作品『レボリューショナリー・ロード』(2008)から生き延びるすべを学んだ話です。

映画データ

『レボリューショナリー・ロード』

(原題:Revolutionary Road)

2008年/アメリカ/119分
監督:サム・メンデス
脚本:ジャスティン・ヘイツ
原作:リチャード・イェーツ『家族の終わりに』
音楽:トーマス・ニューマン
撮影:ロジャー・ディーキンス
編集:タリク・アンウォー
出演:レオナルド・ディカプリオ/ケイト・ウィンスレット/キャシー・ベイツ/マイケル・シャノン他

映画の感想と評価

個人はどう生きるべきか?

生きることは捨てること。
これに尽きます。

まず作品の時代背景から。

1945年。戦後、アメリカに帰った若者たちはせっせと仕事にはげみ、子供を作りました。

1950年代に入り、同じような所得、同じようなライフスタイルを手に入れた彼らは中産階級として社会の中核を成していきます。

すると何が起こるか?
価値観や幸福感の画一化です。

郊外にマイホームを建て、
夫は都会の一流企業でバリバリ働き、
妻は自宅で子供たちの世話、芝生の手入れなどしながら悠々自適に暮らす。

世間的に成功とされる基準さえ満たせばそれが「幸せ」とされた時代です。

しかし、社会が保守的な空気に包まれると、個人は群衆と化していきます。
スライムは寄り集まってキングスライムになるのです。

1つの生命体となった群衆は、自分を守るために何を起こすか?
平均値から外れる者を徹底的に攻撃し始めるのです。

50年代の保守的空気を象徴するマッカーシズム。
この大災害に見舞われた人々は、特定の思想を持つ自由さえ奪われ、ビクビクしなきゃ生きられませんでした。

常識は群衆の生命維持のために白血球としての機能を懸命に果たします。

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そんな社会に生きる多くの人々は、
「体制が規定する幸福でなく、自分にとって大事なのはどういう生き方か?」
そんな根源的な自問すらしなくなり、日々のルーティンに追われるだけの道を選びます。

その日々の中、人々の感情はすり減り、変化を求めず、無感動になっていく。
これは生命を精いっぱい輝かせられない苦しみから心を守るための本能かも知れません。

つまり今作におけるフランクは単一の人格ではないのです。
彼は手に入れた安寧を捨てられず、異世界に飛び込んでいく勇気が出せない”普通の人々”のシンボルです。

ああだこうだと本音をいつわり、言い訳と正当化ばかりする人間の典型。
個人的にディカプリオ史上最高の演技だと思います。

主人公夫妻が住む家の“はめごろし”の窓は、二人にとって違う役割を持つ舞台装置です。
はめ殺しの窓はフランクにとっては、自分を守ってくれる鎧。

しかし。フランクとは反対にエイプリルは気づいてしまいました。

“はめごろし”の窓は牢獄そのもの。
自分で考え、自分で選び、自分の人生を謳歌する自由を抑圧する鉄格子。

フランクにとっての天国は、エイプリルにとっての地獄です。

では個人はどう生きるべきか?

革命を起こせ!!!
安寧を捨てろ!!!

これ意外にありません。

自分だけのミッションを自覚すること。
ミッションのため犠牲を払う覚悟を持つこと。
覚悟のもと勇気を出し、行動に移すこと。

それが成功するか失敗するかは二の次。

『ロレンツォのオイル』
『怒りのデスロード』
『トランボ』
『インビクタス』
『ミルク』
『LIFE!』
『アルゴ』
『レスラー』
『ハートロッカー』
『マイレージマイライフ』
『シングストリート』
『生きる』
『めぐり合う時間たち』
『リリィのすべて』
『エデンより彼方に』
『BIUTIFUL』
『いまを生きる』
『マディソン郡の橋』
『ポセイドン・アドヴェンチャー』
などなど

枚挙に暇がないですが、これらも全てエイプリルと同じ、英雄を讃える物語。
望まないのに英雄にならざるを得なかった者も多いです。

今作のジョンみたいに「狂った」人物こそが、最も真理に近づいている事は『カッコーの巣の上で』や『CUBE』などでも描かれている通り。

常識にしばられる人。
常識をぶち壊す人。

生き物として正常なのは一体どちらでしょう?

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