映画『スリーパーズ』(1996) 感想と評価

Pocket

スポンサードリンク

少年たちが変態ショタ看守からヒドイ目に合わされても、神様は見向きもしない。

信仰とは、正義とは、悪とはいったい何なのか?

ただ一つハッキリしているのは、ホットドッグ屋のおじさんが一番かわいそうという事だ!

予告編

映画データ

『スリーパーズ』

(原題:Sleepers)

1996年/アメリカ/147分
監督/脚本:バリー・レヴィンソン
撮影
:ミヒャエル・バルハウス
出演:ジェイソン・パトリック/ブラッド・ピット/ロバート・デ・ニーロ/ダスティン/ホフマン/ミニー・ドライバー他

感想と評価

優しくて品行方正。船長からの人望もあつい有能な船乗り。

エドモン・ダンテスはイケメンを絵に描いたような好青年だ。

長い船旅ののち、ナポレオン失脚後のフランスに帰ったエドモンは愛する女性との結婚を目前に控え、これから始まる明るい未来に胸を高鳴らせていた。

しかし、彼のリア充っぷりをひがんだ同じ船の乗組員がいた。

嫉妬野郎に陥れられたエドモンは裁判にかけられる。

そして国家反逆罪の濡れ衣を着せられた彼は、絶海の孤島にある牢獄に幽閉され、若い時代のすべてを暗闇に閉じ込められてしまった。

長い時間が経ったある日、ミステリアスなムードをまとった謎のイタリア紳士がパリの社交界に現れる。

モンテ・クリスト伯を名乗る彼の目的は復讐

かつて自分に残酷な仕打ちを与えた敵たちを探し出し、じわりじわりと知能を武器に追い詰めていくのだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

大デュマの『モンテ・クリスト伯』は岩波文庫で7巻もある大著だけど、

ドキドキが止まらない脱出劇

知的で大胆不敵な主人公の一挙一動

痛快な復讐劇

などなど。どこを取ってもエンタメとして隙がなく一瀉千里に読み終えた思い出の小説です。

その舞台をNYに移したのが、現代のモンテクリスト伯とも言える今作『スリーパーズ』。

ビルの屋上。

目を閉じて寝そべる、無防備な裸の少年たち。

ジョック・スタージェスの写真のような美しい画から、ステディカムはゆっくりと路上まで視点を下げていく。

スコセッシ作品でおなじみの撮影監督ミヒャエル・バルハウスによる『グッドフェローズ』ライクなカメラワークに冒頭からワクワクが止まりません。

スポンサードリンク

前年の作品『バスケットボール・ダイアリーズ』(1995)の序盤と同じく、明るさと荒んだムードが同居した悪ガキたちの日常が1幕目では描かれます。

そこから悪ガキたちが少年院にぶち込まれ、「規律と規制」という名のもと、尊厳を踏みにじられる二幕目へと物語は急転直下。

『告発』で残虐看守ゲイリー・オールドマンから凄惨なイジメを受ける囚人を演じたケヴィン・ベーコンですが、今作ではゲス以外に言葉の見つからないショタホモ看守を演じて少年たちを恐怖の底に突き落とします。

数年後、今作を翻案したと思しき『ミスティック・リバー』では正義の刑事として登場しており、ふたたびマトモな人間に戻っていましたが。

看守たちの暴行になす術もないツライ少年院暮らしの中、国語の先生が主人公シェイクスに渡すのが『モンテ・クリスト伯』です。

今作での演出はささやかですが、

『ハロルドとモード』
『いまを生きる』
『ウォールフラワー』

みたく、メンターの支えによって少年が実存を取り戻していく展開は胸が熱くなりますねえ。

そして三幕目の法廷劇。

画面に映らないデ・ニーロ神父の葛藤を通して、

「カトリックの信仰と、国の法律と、街の掟」

「人が人を裁くのは神の道に反する」

「神も愛しているし、現実の仲間も愛している」

「自分が選ぶべきものは何なのか?」

「正義と悪の境目はどこにあるんだ?」

という、『ダークナイト』『許されざる者』などにも通じる問いかけがなされます。

ミスターチルドレン「Not Found」の歌詞
“矛盾し合ったすべての事が正しさを主張してる”
を思い出しました。

押すか引くかのバランスに苦心する検察官ブラッド・ピットの表情も見どころ。

18世紀後半のブルボン朝の財政難とその対策

⇒ 下層市民による革命

⇒ 第一帝政

⇒ 王政復古

あたりのフランス史を踏まえて『モンテ・クリスト伯』を読み、その後に『スリーパーズ』を観れば符合する点が分かっていっそう面白いはず!

スポンサードリンク
Pocket

スポンサーリンク
Copy Protected by Chetan's WP-Copyprotect.