映画『ザ・プレイヤー』(1992) 感想と評価

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バイオレンス、お色気、笑い、ハッピーエンドなどなど。

それらを哲学も無く、興行収入だけを狙ってご都合主義的に弄する映画は数限りない。

今作ではそれらの要素が、ヒットするための手段でなく

「ほらエサだぞ、こういうのが好きなんだろ」

と痛烈に皮肉るためのツールとして用いられる。

反逆児アルトマンのパンクスピリットが光る傑作だ。

映画データ

『ザ・プレイヤー』

(原題:The Player)

1992年/アメリカ/124分
監督:ロバート・アルトマン
脚本:マイケル・トルキン
原作:マイケル・トルキン
音楽:トーマス・ニューマン
出演:ティム・ロビンス/グレタ・スカッキ/ウーピー・ゴールドバーグ他

映画の感想と評価

売り出し中の脚本家が、ご都合主義的なハリウッド映画への反発として

「無実の人間が冤罪で極刑になる」

というバッドエンド作品をプレゼンするシーン。

ハリウッドはもっと残酷でリアリティのある映画を作るべき、という主張だ。

そのプレゼン自体はアルトマンが込めたメッセージの核心ではなく、後の展開に重みを持たせるために、十分な時間をかけて描写されたに過ぎません。

では真意は何なのか?

タネ明かしとして鑑賞者が突きつけられるのは、黒澤明の『生きる』や『悪いやつほどよく眠る』を思わせる、

「長いものには巻かれるしかないのか。。。」

という無力感です。

個人の力で太刀打ちできない既成のシステムと、それに屈する主人公。そういったアメリカン・ニューシネマ的な人物像ではなく、汚れきった権威の象徴として主人公が描かれるところが見どころです。

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ハリウッドらしい「ハッピーエンドという暴力」を諷刺したラストシーンは、ヒドすぎて(もちろん褒め言葉)笑わざるを得ません。

冒頭の長回し

ストーリー面だけでなく、映画づくりの手法面でも

「最近の映画はどれもカットカットカット!細切れに編集しまくれば良いと思ってやがる。『黒い罠』の長回しを見習え!」

と冒頭からハリウッド批判が飛び出します。

この潮流は今でもそうですよね。例えば『ボーン・アルティメイタム』の編集なんて恐ろしいこま切れ具合で度胆抜かれます。

長回しは個人的にも大好きなんですよ。

『ブギーナイツ』の冒頭や、『L.A.ギャングストーリー』でクラブに入店するライアン・ゴズリングを追う、スコセッシ的なカメラワーク、

『バードマン』全編や『ゼロ・グラビティ』冒頭、『レヴェナント』などエマニュエル・ルベツキの”ヌルヌル”動くステディカム。

渋滞するハリウッドの道路で大勢のダンサーが飛んで!跳ねて!歌い出す!『LA LA LAND』冒頭などなど。

どれもピタゴラスイッチ観てる時とまったく同じ「スゲー!」感を覚えるんですよね。

冒頭に「おぉ!」と目を引く長回しを用意するのは、観客の注意と緊張感を保たせる目的もあるのでしょう。

冒頭の長回しは15テイク撮ったうちの10テイク目を採用したらしいんだけど、

「シーン1、テイク10」

てカチンコ鳴らすとこまで切らずに使ってるんですね〜。

「これは映画(虚構)、つまり現実の風刺ですよ」って事を伝えるためでしょうか。

脚本のメタな構造には『アダプテーション』『T2 トレインスポッティング』などを思い出します。

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