映画『絞殺魔』ネタバレ感想評価!

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名匠リチャード・フライシャー監督<シリアルキラー三部作>の1作目を紹介します。

映画データ

『絞殺魔』

(原題:The Boston Strangler)

1968年/アメリカ/116分
監督:リチャード・フライシャー
出演:トニー・カーティス/ヘンリー・フォンダ/ジョージ・ケネディ他

映画の感想と評価

1962年6月~64年1月、残忍な無差別・連続・殺人事件がボストンを震撼させた。

下は19歳から上は85歳までの女性13人が、吐き気をもよおす邪悪な手口で殺されたのだ。(詳細は省略)

一体どんな人間による犯行だったのか?

マルキ・ド・サド作品を収集する金満家

気になる女性の住所をびっしり手帳に控えては後をつけるイカれたナンパ師

オセローのコスプレで白昼堂々自分の奥さんともみ合う奇人

自らの体を汚し痛めつけることで神に祝福をささげる、敬虔な精神薄弱青年。

「こいつが犯人か!」「いやこいつか!」

容疑者として何人もの男が登場するが、”怪しい”だけで事件とは関係ない者ばかり。

マルキ・ド・サド嗜好の金満家の独白には、60年代後半アメリカに起こったカウンターカルチャーの一角、ゲイリブの風潮を汲んだ意図が読み取れる。

いっこうに真犯人にたどり着けない刑事たちの疲労感は、デヴィッド・フィンチャー監督の『セブン』『ゾディアック』を観ているようだ。

そしてどこに注視するのかを迷わせる、いくつにも分かれた分割画面。
これにより刑事たちだけでなく、観客もまた翻弄される感覚を味わうことになる。

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犯人の二重人格を疑う医師はこう語った。

「正気と狂気の境目は微妙なものですよ」

前半と後半で映像演出の趣をすっかり変えるギャップがユーモラスな映画だが、そのテーマ自体は首尾一貫している。

一人の人間の中に潜む正気と狂気。現実と妄想。

そのボーダーを曖昧にする映像によって、観客もまた実存の危機に直面させられるのだ。

これは同時代の『昼顔』、『反撥』、『欲望』などにも顕著な手法だが、無音によって受け手の不安感を煽る演出もそれらの作品と類似する。

登場する容疑者たちが皆、社会的にマージナルな、”ギリギリ”な人びとだけで構成されるのも「正気と狂気の曖昧さ」というテーマを表すためだ。

犯人アルバート・デルサヴォを演じるのはトニー・カーティス。
『サイコ』でノーマン・ベイツに惨殺されるジャネット・リーの元・旦那さんである。

終盤、ジェームズ・マクニール・ホイッスラーの絵を思わせるまっしろな服まっしろな壁。

そして閉塞的な空間の中、ロングテイクでゆっくり追われるカーティスの一人芝居から目が離せない。

『マンディンゴ』などにも顕著だが、リチャード・フライシャー監督の、極端にキアロスクーロを強調した画面作りも随所に見られる。

サイコスリラーという枠に限らず、絵画的な映像を好む人にもオススメできる作品。

D・フィンチャー、

デ・パルマ、

ニコラス・ウィンディング・レフン、

ジェームズ・フォーリー

などの画づくりにハマれる方は是非。

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