『宇宙よりも遠い場所』よりもい感想~評価~考察(2)めぐっちゃんゴーストワールド

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フィルミナ(@filminaty666)です。

前回の記事では『よりもい』の人物それぞれが抱える「南極」の本質を考察しつつ、「行動に移れる強さ」を掘り下げました。

今回スポットを当てたのは「行動に移れない弱さ」の象徴、裏主人公めぐっちゃんです。

めぐっちゃんのおかげで人類が繁栄したこと。

めぐっちゃんが出演してきた映画たちのこと。

めぐっちゃんは幽霊であること。

↑ワケ分からんと思いますが、書きたい事が山ほどあります!

それでは今回も、心のガソリン『よりもい』に切り込んでいきましょう。

※ネタバレ全開!

『宇宙よりも遠い場所』記事一覧

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めぐっちゃんは何者なのか?

ドリームキラーの脅威

あなたにも辿り着きたい「南極」はありますか?

頑張っている事があれば、十分に気を付けてください。

普通に考えてできると思う?」

現実を見ろよ」

「お前は社会の厳しさ分かってない

他人の熱中や夢を笑ったり、ジャマせずにいられない者はそこら中にいるのです。

彼らはドリームキラーと呼ばれる人たち。

彼らの精神的な攻撃で心がくじけてしまい、批判される怖さで何もできなくなる人は後を絶ちません。

いっそう悲しいのは、攻撃されて弱った人自身が、誰かを攻撃する側に回ってしまうケースも多いこと。

(ドリームキラーはエナジーヴァンパイアとも呼ばれます。咬まれた者まで吸血鬼と化す様子をうまく例えた言葉です)

主人公キマリさんの前に立ちふさがる、親友にして最強の敵、めぐっちゃんもその一人。

彼女は単一の人格というより、全てのドリームキラーを象徴する存在でした

彼女は第5話において、旅立とうとするキマリさんにしてきた妨害のことを白状します。

「南極(しらせさん)と新宿まで行ったって、なんで噂になったんだと思う? お前、誰かに話したか?」

最初に南極に会った時に、なんで『100万円持ってる』って上級生が知ってた?」

「母親がなんで、南極に行くってお前が言うより先に知ってた?」

「わたし以外にないだろ!」

「とっとと気付いて、お前が激怒するんだろうなって思ってた!

いつだろうって!

でも、お前も南極たちも、全然バカみたいに気付かないで!」

人は一体なぜ「めぐっちゃん」になってしまうのでしょう?

その謎は、数百万年の人類の進化の過程にありました。

実は「めぐっちゃん」のおかげで、私たち人間が現代に生き残っていると言っても過言ではないのです。

「めぐっちゃん」状態は動物の本能

※以下『よりもい』にも実人生にも密接に関わるけど、とりあえず読み飛ばして問題ない長文です。

読む方はクリック!

人間は弱い生き物。

文字通り「ケンカが弱い」という意味でメチャクチャ弱いです。

鋭いキバもなく、足も遅く、甲羅もなく、空も飛べない。

叩かれると意外に超痛いペンギンの翼もない。

今でこそ科学技術の進歩により地球最強の生物としてハバを利かせてますが、動物たちと同じく野原を駆け回ってた頃はどうだったでしょう?

発達した前頭葉と、自由な両手くらいしかないんですよ。

自然界で猛獣たちと戦うのに役立つ道具なんて。

そんなハンデを背負いながら、人類はどうやって過酷な環境を生き延びてきたのか?

・・・・・

そうです。集団、さらに言えば社会を作ることで、人類は天敵から身を守ってきたのです。

1対1では戦えない猛獣も、前頭葉を駆使して、武器を使って、チームプレーを磨けば打ち倒すことができます。

そして生きるか死ぬかの世界で集団を存続させるとなると、

危険を避けるために自ずと

「いったん出来上がった社会の秩序はできるだけ維持しよう」

という意識が働きます。

「やっと外敵が少なくて食べ物も豊富な場所を見つけたぞ!みんなでここに住もう!」

しかし。

そうして苦労の末に手に入れた秩序ある暮らしを、乱す奴が現れたらどうします??

「おれ、そろそろあっちに住みたいんだけど」

とかワガママ言う奴が集団内にいたらどうします?

そいつの勝手で集団が、自分の命が危険にさらされるとしたら。

どうします?

徹底的に排除するわけですよ。

意外に思われるかもしれませんが、

生き物は進化を選択的に行うわけではないんです。

「外的環境がこうだからこう進化しよう」ではないんですね。

遺伝子に突然変異を起こした個体が特別な個性を身に付け、

それがたまたま、その環境下で種を残すのに有利に働くのであれば、

だんだん同じ特性を持った個体だけが残っていく。

そういう順番です。

であれば。

弱肉強食の世界で人類が生き残るのに有利な個性とは何だったのでしょう?

①現状を変えるのが怖くてたまらない

そして

②現状を変えようとする個体を攻撃するのに快感を覚える

だと考えられませんか?

そして①と②が合わさった結果、「めぐっちゃん」が生まれる

人間は大昔に身に付けた特性で、今でも人付き合いに苦しんでいるんです。

あなたが今後ドリームキラーを見かけたら

「この人は得意に振る舞っているけど、本当はただの臆病者かも」

「他人を攻撃することで精神を保とうと必死なのかも」

と、余裕を見せてあげて下さい。

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ともあれそうやって、私たちの遠い祖先たちは過酷な環境を生き延びてきました。

彼らが現状打破に慎重でいてくれたおかげで、現在の人類の繁栄がある。

その事実はいったん感謝して受け止めるように心がけています。

数百万年かけて蓄積してきた遺伝情報はそう簡単には変えられません。

むしろ

「個人の自由」なるものが大事にされ始めたのはせいぜいここ数百年

 (日本の場合は明治以降)

なわけですから、

人類史トータルで見れば現代人こそが異常と言えるかも知れませんね。

とはいえ現代社会にフィットしない本能によって、傷つく人が沢山いるのは厳然たる事実なわけで。

しかも画一的な思考を人々に植えつける日本的教育は、この本能と親和性が高い。

キマリさんやしらせさん達“突然変異の個体”と、

突然変異に石をぶつける「めぐっちゃん」の戦い。

それは『よりもい』だけでなく、何度も創作で描かれてきたテーマでもあります。

数々の名画に出演している「めぐっちゃん」

「めぐっちゃん」が出演している作品は数えきれないほど存在します。

・牢獄同然の精神病院に自由をもたらそうとするジャック・ニコルソンを、

徹底的に迫害する『カッコーの巣の上で』ラチェット婦長

・可能性に溢れた若きダスティンホフマンを、

自分と同じ人生の落伍者にすべく迫る

『卒業』のミセス・ロビンソン

・モーツァルトの才能を誰よりも理解し、

誰よりも嫉妬し、

ひずんだ愛憎を渦巻かせる

『アマデウス』のアントニオ・サリエリ

他にも大勢。

時代も舞台も性別も違えど、みな

「悔しい!他人を引きずり下ろしたい!」

という闇を心に渦巻かせています。

その中でも、

「あ。めぐっちゃんは、彼女と同じだ」

と真っ先に思い出した子がいました。

『ゴーストワールド』とめぐっちゃん

『ゴーストワールド』という映画をご存知でしょうか?

主人公のティーンガール、イーニドは、いつでもツンとすまし顔。

友だちのレベッカとつるんでは、周りの人たちを上から目線で眺めて暮らしています。

やりたいことに熱中するクラスメイトたちをバカにしたり、

街で見かけた人々に「アイツはきっとこんな奴よ」とキャラ付けしたり。

シニカルを気取って、

自分に責任やリスクの及ばない安全圏から、

行動する人を冷笑することで、お手軽な優越感に浸る。

本当は積極的に他人と関わって痛い目をみたり、失敗するのが怖いだけなのです。

そしてイーニド自身はそれに気づいていません。

(恐怖で動けないという点は、メインキャラの日向さんとも重なります)

「現実社会を遠巻きに眺めるだけの人間なんて、幽霊と同じだ」

だから『ゴーストワールド』。

(このタイトルはイングマル・ベルイマン監督『第七の封印』内のセリフが元ネタですが、詳しくはまた今度)

しかし。

親友のレベッカ(若きスカーレット・ヨハンソン!)を始め、自分と同類と思っていた知人たちがどんどんアクションを起こし、現実と向き合い始めます。

イーニド、やばいです、焦ります。

そう。めぐっちゃん、このイーニドにそっくりなんですよ(見た目も)

悩んで、学んで、イーニドは最後に“ある決意”を固めたのでした。

(よかったら観てみてください!)

さて、一方でめぐっちゃんはどうしたでしょうか?

めぐっちゃんの”父親”

前回触れたとおり、めぐっちゃんはキマリさんにとって乗り越えるべき“父親”でした。

キマリさんへの妨害工作を白状した後、めぐっちゃんはこう続けます。

「やっと気付いた。くっついて歩いてるのはキマリじゃなくて私なんだって」

「キマリに頼られて、相談されて、呆れて面倒見るようなフリして、偉そうな態度とって」

自分に何も無かったから!

キマリにも何も持たせたくなかったんだ!

「ダメなのはキマリじゃない!私だ!

ここじゃない所に向かわないといけないのは、私なんだよ!」

やっと一歩踏み出そうとしてるんだぞ。お前のいない世界に

キマリさんもまた、めぐっちゃんが乗り越えるべき”父親”だったんですね。

ちなみに2人は親友同士、疑似親子、だけにとどまりません。

二人の関係性に隠された本当の意味がもう一つあるのです。

それを読み解くヒントが、ある高名なアメリカ人作家が残した作品にありました。

不思議じゃありませんか?

めぐっちゃんが妨害工作を打ち明けても、

キマリさんはその悪意になかなか気付きません。

キマリさんはなぜこうも純粋なのか?

次回はキマリさんとめぐっちゃんの関係性をいっそう深堀りし、

「ドッペルゲンガー」

という視点から考察します。

なぜ今作が『ドラえもん』『ガンダム』『ファイトクラブ』なのか?

それが分かると、あのアニメ、あの映画、あの小説、、

様々な成長物語を見る視点が変わるはずです↓

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